宝島
真藤順丈 著 /
今なお続く、沖縄の米軍基地問題。
なぜ彼らは、米軍基地を拒み続け、強く、激しく、叫び続けるのか。
その全ての真相がここにある。
戦後、米軍施政下の置かれた沖縄。
米軍基地ひしめく中、米兵が我が物顏でねり歩き、沖縄の男たちはろくな仕事に有り付けず、女は米兵の慰め者になる。
そこは本土の日本とはかけ離れた別世界だった。
そんな最中、米軍基地から物資を盗み出す「戦果アギヤー」が暗躍する。
生活必需品や医療品や食料を盗み出し、分け与える。
そのメンバーは、まだ年端もいかない少年少女たち。
オンちゃん、グスク、レイ、ヤマコ。
混乱する時代を駆け抜ける、固い絆で結ばれた幼馴染。
「生還こそ一番の戦果」と言っていたリーダー オンちゃんが、ある夜、忍び込んだ米軍基地から突然姿を消す。
それを境に幼馴染の絆に僅かな綻びが生まれていく。
小学校に米軍の戦闘機が落ち、多くの子供たちの命が奪われ、米軍の車両にひかれ、無残な死を遂げた女性の事件に無罪判決がくだり、酒に酔った米兵に性的暴行を加えられる少女。
その罪の数々は、アメリカの憲兵たちもみ消され、彼らの訴えや抗議は、無残に踏みにじられる。
それでも、生きるために走り続け、闘い、抗い、叫び、行方不明の「英雄」の帰りを想い続ける。
幼馴染の少年少女は、それぞれ警察官になり、教師になり、テロリストになり、同じ夢に向かう。
沖縄の自治権を取り戻すために、本土返還の活動のために、力でアメリカをねじ伏せるために。
一面を炎で覆い尽くしたゴザ暴動で、沖縄人の怒りが頂点に達した時、奪われた沖縄(ふるさと)を取り戻すためにウチナンチュ(沖縄人)は再び立ち上がる。
沖縄の戦後1952年から1972年の本土返還までの20年の沖縄戦後史を、詳細に果敢に真正面から描ききった作品である。
この沖縄の痛みを感じ取り、我々日本人は、今、なにを想うー
★ハッとしてグッとポイント★
熱く生き抜いた若者たち。
現代に続く基地問題を知る必読の書。
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