USJを劇的に変えた、たった1つの考え方
森岡毅 著 /
2001年の開業こそ華々しかったUSJ (ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)。
しかし、そのわずか3年後、集客数が急降下し、2004年に事実上の経営破綻に追い込まれる。
その後、徹底的なコストカットで、この危機を乗り越えるが、集客数は依然伸び悩み、瀕死の状態は相変わらず続いていた。
そして、2010年にひとりの男が入社することによって、USJは劇的なV字回復を果たしていく。
それは奇跡の大復活と言われた。
USJはなぜ復活し、大成功を収めることが出来たのか。
その男、森岡氏の手によって、「マーケティング」を重視する企業に変わったからだ。
かつて新規事業の成功率は30%程度だったが、それが現在では驚異の97%を誇る。
消費者の購買行動を決定的に変える機能、それが「マーケティング」。
当初USJは、「映画のテーマパーク」というコンセプトにこだわっていた。
しかし、既存の映画ファンだけでは、集客数の伸びはこれ以上見込めないと判断し、「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」にブランド戦力を変更する。
「エヴァンゲリオン」や「進撃の巨人」「ワンピース」などのアニメのコンテンツを立ち上げ、「ユニバーサル・クールジャパン」として、大人から子供まで圧倒的な支持を得て、さらには海外からの旅行客を取り込み、この戦略は大成功を収める。
そのビジネスが果たして、今後どれほど伸びるのか、伸びないのか、その本質を見極める。
「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」。
そして、「ゲストが本当の喜ぶもの」と「ゲストが喜ぶであろうと作る側が思っているもの」は必ずしも一致しない。
常に消費者視点という価値観と仕組みを考え、消費者の方を向いて、消費者のために動く。
しかし、エンターテイメントの傑作は、作る側の創造性抜きでは消して生み出せない。
マーケターの仕事は、彼らの才能と努力を注ぐべき焦点を明確にし、それが結果によって報われるように導くこと。
会社のお金の使い道や従業員たちのあらゆる努力を、消費者にとって意味のある価値に繋がるようにシフトさせる。
USJは消費者視点を大切にし、「作ったものを売る会社」から「売れるものを作る会社」に変わったのだ。
USJの入場料は、この5年間で2割もの大幅値上げをしている。
しかし集客数は増加の一途を辿る。
価格は売り上げを左右するだけでなく、顧客からのブランドへの評価そのものである。
価格を最終的に決めているのは、消費者であり、運営側ではない。
値下げして集客を増やすのではなく、値上げをしながら集客も増やし、収益を倍増させ、それで得た資金を次のエンターテイメントへと投資する。
当初からの念願であった「ハリー・ポッター」をオープンする。
集客市場を全国からアジア諸国まで拡大し、不動の人気パークとなる。
低迷していた頃と比べ、集客を600万人以上積み上げ、売り上げは倍以上に伸び、利益に至っては、数倍の伸長を遂げた。
「世界一の光のツリー」のクリスマスイベント。
生身のゾンビを園内に放つ、ハロウィーンパーティー。
マーケター、森岡氏の勝率は今なお伸び続けている。
★ハッとしてグッとポイント★
人も、会社も、ビジネスで成功する近道は「マーケティング」を知っておくこと。
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