スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?
ジョン・ムーア 著
スターバックスが現れるまで、コーヒーは単なるカフェインを摂取する飲み物として、味を楽しむよりも刺激を得るために飲むという、いわば目を覚ましたり、頭をスッキリさせるための刺激飲料の一つでしかなかった。
それを徹底的に豆の品質、製法にこだわり、落ち着ける空間で、有意義にコーヒーを楽しんで味わえるスタイルに変えた。
誰もが我慢だと思っていたものを、楽しむものへと価値観を変え、「スペシャリティコーヒー」という新たなカテゴリーサービスを誕生させた。
そのスターバックスの経営スタイルの根幹となるのが、お客様へのスターバックス体験(エクスペリエンス)である。
ここでしか味わえない、心地良くつろげる雰囲気でコーヒーを飲むという体験にお客様は対価を払う。
なので、スターバックスは、大々的なテレビCMに多額の販促費を割くことはあり得ない。
突発的なイメージキャンペーンをどれだけ行おうが、イメージでビジネスは成り立たないことを知っているからだ。
巨額な広告費をつぎ込むのなら、店内で新商品のテイスティングをサービスしたり、快適でくつろぎやすい椅子を用意し、全店にフリーWi-Fiを開通させ、混雑を少しでも避けるために従業員の増加を図る。
全てのお客様により良いスターバックス体験をしてもらうために費やすのだ。
その結果、口コミでその評判が広がり、お店へと誘導してくれる。
そして、景気変動に乗じた値引きもしない。
低価格は名案を考えつけないマーケティング担当者の最後の手段である。
スターバックスの経営陣は良識も独創性もあるので、低価格という罠には落ちない。
常にお客様との繋がりを最優先に考え、価格に見合うだけの価値があると認められているからこそである。
商品がブランドをつくるのではない。
ブランドは、人の情熱でよって生み出される。
だからこそ、お客様に素晴らしい商品と有意義な体験を提供するパートナー(当社では従業員をこう呼ぶ)を雇うことに重点を置いている。
保証や福利厚生はもちろんのこと、座学や実務等の社員教育にも惜しみなく時間を費やし、真面目で誠実で積極的なパートナーを育成する。
自分の仕事に満足し、上司や同僚から尊敬される人物こそが、企業を豊かにし、ひてはお客様を楽しい気持ちにさせる。
会社は目的を達成する手段ではない、いい人生を勝ち取るための手段である。
妥協を許さない品質と味、決して広告に頼らない販売戦略と、人と人の繋がりを大切にする「スターバックス体験」、不況の波に翻弄されることなく、ひたむきに進む企業の姿がここにはある。
やるな、スタバ!
この備忘録、今スタバで書いてます。
★ハッとしてグッとポイント★
ニーズを満たすだけの事業をやっている企業は平凡なものだ。
ウォンツは感情的なもの、理想であり、ワクワクするもの。
この「ウォンツ」を満たしたいという感情で、人は足を運ぶ。
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