七つの会議
池井戸潤 著
人は誰しも志を抱いて、会社という組織に入る。
ひたいに汗し、懸命に働く。
日々、学び、経験を積み、出来なかったことが出来る喜びに一喜一憂する。
そんな日々が続くと思っていた。
しかし、景気の変動や時代の流れによって、会社という生き物は、その姿を変貌させる。
「ノルマは絶対、言い訳は一切聞かない」
到達出来ない数字に怯え、上司の叱責に耐え、同僚の冷たい視線にさらされながら、なんとか生き抜く。
そんな最中、会社に不穏な空気が流れる。
納得のいかない人事異動、突然の取引先の変更、物言わぬ上司…見えない所で、確実に何かが動き、地響きを立てている。
競合他社を振るいにかけ、徹底したコストダウンを図るため、決して超えてはならない一線を越えようかとした時、組織の意に反し、胸を張って行動できるのだろうか…
舞台は、家電製品や住宅資材など幅広く扱う中小企業。
本社に睨まれながら、吹けば飛ぶような子会社。
それぞれの役職、立場で働く社員の葛藤や挫折、やり切れなさを痛感する物語だ。
組織の中で生き抜くことの難しさが描かれ、他言無用の会社の根深い闇に迫る、クライムサスペンスといった趣向もあり、読み応えのある作品。
何のために働いているのか?
その意味を問う作品でもある。
★ハッとしてグッとポイント★
虚飾の繁栄か、真実の清貧か、選ぶのはどっちだ。
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