思考の整理学
外山滋比古 著 /
「無知は罪」と言われるように、我々は様々な学びを通して、多くの知識を蓄えようとする。
しかし、知識というものは貯めて置くだけでは何の価値もない。
しっかりと整理管理し、必要に応じてストックされた知識を臨機応変に導き出すことが望まれる。
本書では、より効率よく知識を身に付ける思考方法や、快適に知識を選別し、実行に移す整理術を、あらゆる側面で、興味深く解いてくれる。
知識は多ければ多いだけいいというものではない。
問題は知識自体ではなく、組織された知識でないと、ものを生み出す働きをしないということだ。
ある知識と知識を結び付けることによって、新たな発想やアイデアが生まれてきたり、前後の順番を変えただけで、物事の見方が変わったり、知識はその形態によって、様々な変貌を遂げる。
故に、きちんと整理し、いつでも効率よく引き出せることが重要である。
時にはあえて忘れることも必要で、頭の中の風通しを常によくして、スムーズに動くようにしておきたい。
余計なものは排除し、より重要なものを根付かせておく。
しかし、忘れてはならないことまで忘れることもあるという、面倒な側面もあるので、重要なことはメモにし、再確認することによって定着させること。
物事に思い悩んだり、いいアイデアが浮かばない時は、「寝かせる」ことも必要。
1日、2日寝かせることで、ある朝ふと意外で新しい考えが浮かんでくるもの。
思考の整理法としては、この「寝かせる」ほど大切なことはない。
思考を生み出すには、「寝かせる」ことが必須である。
何事も急いではならない。
人間には意志の力ではどうにもならないことがある。
それは時間が自然のうちに、意識を超えたところで、落ち着くところへ落ち着かせてくれる。
等々、上記に書いたものは、本書のごく一部の内容であり、様々な思考にまつわる実践的な
知識がそれこそここに書かれている。
学びや知識についての姿勢を変えてみたい人には、うってつけである。
★ハッとしてグッとポイント★
植物は地上に見えている部分と地下に隠れた根とは、形もほぼ同形で、シンメトリーをなしているという。
花が咲くのも地下に大きな組織があるからこそだ。
知識も人間という木の咲かせた花である。
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