ユービック
フィリップ・K・ディック著 /
SF界の巨匠!ディック!
日本でも馴染みのある映画「ブレードランナー」や「トータルリコール」「マイノリティレポート」など、数多くの彼の作品が映画化されている。
彼の作品の特徴は、現実と虚構の境界線が曖昧になり、善と悪との区別がつかなくなったり、自己のアイデンティティの崩壊といったところか。
何しろ不覚にもそんな超メジャーな作家さんにも関わらず、初体験の読書であった(映画の方は彼の作品とは意識せず何度も観てた)。
この本作「ユービック」は彼の数多くのある作品群の中でも、特に人気のある作品。
物語は超能力集団とその能力を奪う不活生集団との対立で始まる。
この両者の激しい異次元バトルが始まるのか?と思いきや、不活生集団のメンバーが爆弾で弾き飛ばされ、生きているのか、死んでいるのか、いや、生きてるし、死んでるし…となんとも不可解な世界をさまようこととなり、さらに時間が逆行するという現象が現れ、それを止める手段が「ユービック」というスプレー缶唯一だという。
これが物語の全体を占める(超能力合戦一切無し)。
ギミック満載で、時間軸が入り組み、ここでもディック独特の世界観が炸裂します。
とまあ、作品自体は哲学的な匂いもし、興味深かったのですが、いかんせん洋書となると、その翻訳の文章に違和感を感じてしょうがないのである。
もともと外国の文化やその時代に全く馴染みがないんで、 物語の時代背景が解りにくい。
さらに言語の注釈がやたらと出てきますが、その注釈の内容も意味不明な場合があるんで、はなはだ理解に苦しむ。
その度に物語の流れが中断され、その世界観に入り込めない苛立ちが起こる。
また、文章の流れが単発的で、心地よい流れで読み進めることが出来ない。(英語と日本語の文章表現とが違うので、ある程度は仕方ないが、これは翻訳家の力量にも左右される)
と、翻訳本との距離感が掴めないまま、読み続けなければならない、何とも消化不良の残る読後となる。
これが、今まであまり洋書とは縁がなかった要因の一つでもある。
洋書好きの読者はこの距離感とどう付き合っているのか。
これはこれで許容し、読み楽しめるものなのだろうか。
それとも私だけが抱える悩みなのだろうか。
★ハッとしてグッとポイント★
ディックの代表作のひとつ「 ブレードランナー」、原作のタイトルは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」である。
これは結びつかんわ…
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