よい謝罪
竹中功 著 /
不倫も暴力もデータ偽装も政治と金も、事が大きくなってしまったのは、謝罪に失敗したからだ。
昨今、ワイドショーを賑わす謝罪会見。
怒声を上げる者、泣きじゃくる者、記者の質問に右往左往する者、答えが二転三転する者、ひたすらノーコメントの者…
我が社の一大事が発生!
ダメージを最小限に抑えるのは!?
吉本興業で35年間謝り続けた「謝罪マスター」の著者が、謝罪の極意を語り尽くす。
食中毒、交通事故、暴力事件、淫行疑惑…
あらゆる被害者は救われなければならない。
物理的な損害が発生している場合は、何らかの賠償がなされるべきだ。
しかし、それ以上に重要なのは、精神的、感情的な解決である。
弁償や賠償などは「処置」であって、謝罪の本筋ではない。
謝罪とはあくまでも「心の問題」なのである。
マイナスに振れた被害者の「心のを動き」に対し、加害者は誠意を持って対応し、少しでもプラスの方向に戻すように努力しなければならない。
けして「他人事」のように対応せず、相手の気持ちに立って「自分事」として考える。
言ってみれば、被害者も「落とし所」を探している。
加害者になるとどうしても「謝り方」ばかりに集中してしまうが、被害者の「許し方」を探っていくと、「怒りの収め方」が見えてくる。
加害者と被害者がある意味、うまくコミュニケーションを取ることを目指す。
そして被害者に出来るだけ短期間で、「怒り」を「理解」に変換してもらい、その後何度も謝罪することなく、信頼を回復することが、「よい謝罪」というものだ。
本書では、吉本の芸人が実際に起こした有事を元に、いかにして解決に導いていったのかが、細かく描かれている。
人生において、大小問わず「謝る」場面に遭遇するとは避けては通れない。
その時のために「謝る技術」を身につけておくのも必要だが、なるべくそれは懐にしまっておきたいものだ。
★ハッとしてグッとポイント★
謝罪とはけして一方的なものではなく、コミュニケーションである。
0コメント