教場

長岡弘樹 著 / 

 

警察もののミステリーやサスペンス、人間ドラマは数多く見てきたけれど、「警察学校」を舞台にした物語は初めてで、とても新鮮に感じた。

  

警察学校とは文字通り、警察官の養成施設で、ある一定期間、ここで徹底的に専門知識や実技等を精神的、肉体的に鍛え上げる。

それはもう凄まじいもので、ここは警察施設でありながらも、刑務所ではないかと思われるほど規律が厳しい。

  

希望に燃え、入校した生徒を待ち受けるのは、冷厳な白髪教官、風間。

生徒たちの僅かな異変も見逃さず、全ての行動を見抜く鬼。

この風間に睨まれれば最後、即効退校という結果が待っている。

  

警察学校とは無能な生徒をふるいに落とす機関!

  

ある生徒にスパイのような活動をさせ、徹底的に観察し、冷静沈着に振る舞う姿は警察官の完成系とも言える。

それを自ら体現するかの如く。

  

退校宣告から執行までのタイムリミットは一週間!

風間教場に編入された不運を呪いながら己と闘え!

  

時には傍若無人とも取れる、追い込みをかけ、生徒を苦しめるが、それを超え、なおかつ這い上がってくる者しか警察官として認められないという、「教え」がある。

  

そこにはふるい落すだけではなく、さあ、立ち上がってこい!と手を差し伸べる優しさもある。

  

子気味いい文体、スリリングな展開、全てが伏線という連作短編小説。

とても面白く、警察学校の授業風景がとても興味深かった。

  

★ハッとしてグッとポイント★

警察学校とは必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじき出すための篩(ふるい)。

読んだら忘れないための備忘録

歳を重ねるにつて、読んだ端からすぐ忘れては、本屋でお気に入りの本を手に取り、帰ってみたら、自宅の本棚に全く同じものがある光景に辟易してしまう。 そんな負の連鎖を極力避けるべく、またせっかくの学びをより確かなものにするための備忘録です。

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