バラカ

桐野夏生 著 / 

 

舞台は大震災に見舞われた日本。

4基の原子力発電所が爆発破損し、関東一帯の地域に放射能が広がり、東京は首都としての機能を失う。

  

そんな最中、原子力発電所の焼け跡からひとりの少女が発見される。

名前はバラカ。

  

生まれながらにして数奇な運命を背負い、混沌とした震災後の世界に飲み込まれていく。

物語はもちろんフィクションだが、東日本大震災を彷彿させる、けして非現実な世界でもない。

  

東京は大都市としての機能を失い、首都は大阪へ移行する。

関東周辺の都市は、立ち入り禁止区域となり、多くの人々が西へ西へと向かう。

立ち入り禁止区域にいながらも、立ちのくことができない人々は、国からなんら救済を受けることなく、自らの力で生き抜く、棄民としての生活を余儀なくされる。

原発推進派が反対派を弾圧し、多くの犠牲者で溢れかえる。

  

混沌とした秩序と政治の中、大人たちの欲望や善悪に翻弄されながらも生き抜こうとする、少女バカラの姿が描かれる。

  

桐野夏生が得意とする、毒々しいまでの世界観がお好きな方、読む価値ありです。

読んだら忘れないための備忘録

歳を重ねるにつて、読んだ端からすぐ忘れては、本屋でお気に入りの本を手に取り、帰ってみたら、自宅の本棚に全く同じものがある光景に辟易してしまう。 そんな負の連鎖を極力避けるべく、またせっかくの学びをより確かなものにするための備忘録です。

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