サービスを超える瞬間

高野登 著 / 


国内外を問わず、常にホテルランキングで高い評価を得る、リッツ・カールトン。

そこにはサービスを超えた究極のホスピタリティ(おもてなし)がある。


リッツ・カールトンは単なるホテル産業ではない。

彼らが提供しているのは、設備や技術などではなく、まさに心そのもの、ホスピタリティ産業と言える。


お客様からの高い評価を得て、高いリピート率を得て、感動を与え続ける、そこには徹底したリッツ・カールトンならではの仕組みがある。


お客様にひとりひとりにより深いサービスをするため、スタッフは積極的にお客様とコミニケーションを取る。

何気ない会話の中から、お客様の隠れた要望を察知し、強い絆を作る。

そして、お客様の要望にはけして「ノー」と言わない姿勢で取り組む。

お客様の好みや感性はひとりひとり違う。

それにきちんと対応してこそ、心に響くサービスが提供できる。

それは、会社都合のシステムからはけして生まれてこない。


そこでリッツ・カールトンでは、現場のスタッフにエンパワーメントという権利を与えている。


上司の判断を待たずに、自分の判断で行動できる。

セクションの壁を超えて仕事を手伝う時、自分の通常業務を離れることができる。

一日、20万円までの決裁権が与えられる。


例えば、お客様が重要な会議のための資料をホテルの部屋に忘れてしまい、東京に向けて発たれてしまった。

どうしても数時間後にはその資料が必要で、郵送では到底間に合わない場合、急遽スタッフが現場を離れ、新幹線に乗り、東京まで本人に渡しに行くということが、大阪のリッツ・カールトンで実際にあった。


これこそ、エンパワーメントという権利がきちんとスタッフに行き渡っているからこそ成せる行動である。

この行為を受けて、感動し、感謝しない人はいない。

リッツ・カールトンは、これを日常的にやっている。


お客様に喜んで頂くことで、私たちもまた幸せな気持ちになれるし、成長できる。

これが仕事の本質なのだ。


スタッフを現場での作業をこなす「人材」として見るのではなく、企業にとって最も大切な財産「人財」であると明確に捉え、会社が全スタッフを信頼し、スタッフも会社を信頼し、日々の仕事にまい進している。


そのような環境下で生まれるサービスは、時にサービスを超える感動につながり、お客様が言葉にされないニーズまでも十分に満たされる瞬間となる。


感動はお客様への最高のおもてなしのひとつだ。


リッツ・カールトンは、いつまでも感性豊かなホテルとしてそこにあり続け、今日もまた、お客様を「もうひとつの我が家」としてお迎えする。


★ハッとしてグッとポイント★

リッツ・カールトンのスタッフは、「クレド」と呼ばれるカードを常に携帯している。

そこにはビジネスの枠を超えて、人と人が接する時に大切にしたいホスピタリティの精神が示されていて、全スタッフが共有する。

読んだら忘れないための備忘録

歳を重ねるにつて、読んだ端からすぐ忘れては、本屋でお気に入りの本を手に取り、帰ってみたら、自宅の本棚に全く同じものがある光景に辟易してしまう。 そんな負の連鎖を極力避けるべく、またせっかくの学びをより確かなものにするための備忘録です。

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