陸王
池井戸潤 著 /
池井戸作品の法則。
歴代続く中小企業の社長がお金のやりくりに困り、窮地に陥っている。
現在やっている事業が下降気味で、新たな事業を開拓しなければならない。
それには新たな資金が必要になるが、長年メインバンクの金融機関が融資を渋る。
最古参の経理部長と社長の間で、新事業の将来性で対立する。
新規事業が軌道に乗り始めた頃、ライバル会社の大企業の卑劣な妨害にあう。
八方塞がりの中、従業員と時に反目しながらも、仕事のやりがいや、本質を問い、夢や希望に後押しされながら、窮地を脱して行く。
そして、大企業の壁に屈することなく、逆転へと導く。
と、多少の違いはあれども、多分にもれずこのような展開に。
この「陸王」も多分にもれずそうであり、もれなく面白いのである。
もはや、なんとなく展開が読めるのだが、ビジネスパーソンならおわかりのように、感情移入がしやすいし、中小企業が己の技術やサービスを信じ、従業員一丸となって、大企業に挑む、逆転劇はいつでも痛快である。
さらに池井戸作品には、 ビジネスに必要なノウハウやら心構え、仕事の本質を教えてくれる、ビジネス本としても非常に勉強になるし、自己啓発の側面も持つ。
今回は、老舗足袋業者、こはぜ屋がスポーツシューズを開発生産し、大手シューズメーカーのアトランティス(ナイキみたいな企業)に挑む。
さらに怪我で戦線離脱に追い込まれたランナーの復活劇も描かれています。
小説としてのエンターテイメントと自己啓発としてのビジネス本、一粒で二度美味しい良作です。
★ハッとしてグッとポイント★
勝利を信じろ!
足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む!
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