職業としての小説家

村上春樹 著 / 


村上春樹は滅多にと言うか、全くメディアには登場しない。

雑誌にも対談めいた記事もなければ、テレビなどでその姿を拝見したことすらない(何らかの海外の授賞式で、スピーチを見た記憶はあるが)。


その私生活が謎に満ちた小説家だ。

その彼の小説への取り組み方、読者との距離感、各賞への考え方、海外での執筆の様子など、様々な興味深い話がある。


一番印象的だったのは、村上春樹の小説は、日本の文芸批評家には結構叩かれたいたようだ。

あの村上春樹の独特な 文体がお気に召さなかった。

一部では熱狂的なファンを持ち、出せば出すほど、増刷を繰り返す超売れっ子小説家、十分 文芸界に貢献していると思うのだが…


まあ、何にしても出る杭は打たれるということで、何かしらケチを付けたがる輩はいるもんだ。

それ故、村上春樹はそんな雑音が入らない、海外での執筆活動を選んだ訳である。


思えば、僕が本を読むきっかけになったのが、村上春樹の本に出会ったからである。

高校の同級生で、小谷くんというそこそこイケてない、友人までとは呼べない微妙な距離感の学生がいた。

その小谷くんが放課後に読んでいたのが村上春樹の小説だった。


面白いから良かったら読んでみて、と渡されて読んでみたら、その独特の世界観と文体が、国語の授業とは比べものにならないほど、面白かった。


その後、村上春樹の本を読みあさり、何とも当時の高校生にはオッシャレ〜な感じの文学として、少年ジャンプなんぞ読んでいるなんて、ナンセンス!とばかりに優越感に浸っていた覚えがある。


もちろん、放課後は友人にジャンプアップした小谷くんと村上春樹の世界について語り合い(太宰治や夏目漱石なんかも)、文学話に花を咲かせたもんだ。


その村上春樹がこれ程批判され続けていたとは、思いもしなかった。

でも、当の本人は全然気にはしてないようだ。

気にしてたらこんなに第一線で長年活躍してないもの。


毎年、ノーベル文学賞にノミネートされる村上春樹。

今年も注目を浴びてましたが、受賞者がボブ・デュランというトリッキーな受賞に、ハルキスト(村上春樹の熱狂的なファン)達が一瞬呆然としたが、


「ま、春樹もデュランのことが好きだから、これはこれで、いいんではないでしょうか」


と、トボけた発言でお茶を濁していた。

なんだか備忘録というより、思い出話になってしまったが、高校生活をふと垣間見ることになった。


★ハッとしてグッとポイント★

村上春樹は原稿を頼まれて書くのではなく、自分が書きたいと思った時に書く。

なので、〆切というものを味わったことがない、極めて稀な作家である。

読んだら忘れないための備忘録

歳を重ねるにつて、読んだ端からすぐ忘れては、本屋でお気に入りの本を手に取り、帰ってみたら、自宅の本棚に全く同じものがある光景に辟易してしまう。 そんな負の連鎖を極力避けるべく、またせっかくの学びをより確かなものにするための備忘録です。

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