山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた
山中伸弥 著 /
万能細胞。
あらゆる器官、あらゆる臓器に変化する細胞。
そんな夢のような細胞が本当に存在するのか!?
2007年にヒトの皮膚細胞からiPS細胞を樹立したと中山先生のチームからの発表を聞いた時、まずその耳を疑い、色めきだったのを思い出す。
その後、2012年、中山先生はノーベル生理学・医学賞を受賞することとなる。
そんな中山先生の生い立ちやiPS細胞が「できるまで」と「できること」が優しい語り口で語られる。
中山先生は、けしてエリートと呼べる人間ではなかった。
神戸大学の医学部を卒業し研修医として働くも、手術がとても下手で、指導医からは手術の邪魔になるということで、「ジャマナカ」と呼ばれるほどだった。
自分の能力に限界を感じ、無力感にさいなまれ、これでは臨床医になれないと、基礎医学へ方向転換し、研究者としての道を歩むこととなる。
そうです、iPS細胞という世紀の偉業は挫折から始まってたんです。
実は万能細胞と呼ばれるものには、iPS細胞の前にES細胞というものがあったんです。
ES細胞というのは、ざっくり言いますね、受精卵から取り出した細胞から万能細胞を作り出す方法で、受精卵は生まれたてで、まだ何者でもない細胞なので、ある刺激を与えることで、どんな細胞にも変化できるというものです。
しかし、受精卵を使用することは、本来生まれてくるはずの命を奪うこととなり、倫理上好ましくないとされていました。
そこで新たに現れたのが、採血した血やそれこそどこの細胞からでも作り出せる、iPS細胞なんです。
どんな細胞からでもでも作り出せるって、皮膚の細胞はどんだけ培養しても皮膚のままだよね…
そうです、おっしゃる通り、しかし、ここからが中山先生の腕の見せ所。
なんと、その皮膚の細胞の核に、ある4種類の遺伝子因子を放り込むことで、初期化する現象が起こることを発見する。
つまり強制的に細胞をゼロの状態に戻し、そこにあるべき刺激を与えて、あるべき細胞にしてしまおうというものです。
この初期化させるってとこが、山中先生の凄いところ。
これが今まで出来なかったこと。
特定の4種類の遺伝子因子を見つけ出し、初期化に成功、ノーベル賞(ざっくりです)。
今後、iPS細胞の可能性は無限です。
再生医療はもちろんのこと、新薬開発にも大きな期待がかかります。
まだ臨床段階のものが多いいですが、一部実際に使用されているケースも出てきています。
2030年を目標に、iPS細胞を柱とした再生医療の普及を目指す。
山中先生の歩みは止まらない。
★ハッとしてグッとポイント★
日本で生まれた技術だからこそ、日本が世界をリードするすべきだと思っています。
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