最後の秘境 東京藝大
二宮敦人 著 /
日本芸術の総本山。
芸術界の東大とも呼ばれ、そこに入るには相当の倍率をくぐり抜けなければならない。
絵画科の倍率はなんと、約18倍。
80の枠を約1500人もの若者が奪い合う狭き門。
3浪くらいは当たり前なのだ。
東京藝大。
そこには芸術に己の青春の全てをかけ、溢れんばかりの情熱で、日々鍛錬をし続ける若者たちがいる。
東京藝大には、芸術科と音楽科があり、様々な分野に細分化された、数多くの学科がある。
そこでもがき苦しみながら、時に恍惚感に浸りながら、自分の進むべき道を信じ、ひたむきに精進する。
そんな多感な時期に、己が信じるものに無我夢中になり、打ち込める情熱を羨ましくも思う。
しかし、彼らの努力の果てには一体何があるのだろうか。
芸術という答えのない、先の見えないゴールに翻弄され、卒業後、行方不明者が後を絶たないという。
平成27年度の進路状況においては、卒業生486名に対し、「進路未定・その他」が225名と約半分もの若者が不明なのだ。
そもそも東京藝大において、学生の進路をとやかく言う管理体制は皆無だ。
芸大の教授はアーティスト、職人であっても、指導者ではないからだ。
さらに踏み込んでしまえば、「芸術は教えられるものではない」と言い切ってしまう。
その場所で、最後まで光り輝けるのはほんの一握り。
しかし、そこでしか彼らは生きられない何かがある限り、例え五里霧中の森の中でも、一筋に光を頼りに、彼らはひた走るのだ。
その分野で活躍する、天才たちの常人には到底計り知れないカオスの日常は、ある意味とても刺激的である。
★ハッとしてグッとポイント★
年に一度開催される、文化祭 通称「藝祭」は、毎年凄い人気のようです。
機会があれば行ってみたい。
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