かがみの孤城

辻村深月 著 / 


友達と思っていた同級生から裏切られ、不登校に陥り、日々悶々と過ごす主人公のこころ。


ある日、部屋にある大きな鏡が輝き、手を伸ばすと吸い込まれていき、気付けばそこはあるお城の中。

そして、側には狼のお面を付けた少女が立っていた。

「猶予は一年。このお城に隠されている鍵を探し出せば、願いを叶えることができる。」


そのお城の中には同じ不登校という悩みを抱えた7人の少年少女。

お互いを警戒しながら、交流を図ろうとする。

時に傷つきながら、時に励ましながら、次第にお互いの心が触れ合う。


こころの叶えたい願いは、

「裏切ったあの子が、この学校から消えていなくなること」


しかし、本当にそんなことでいいのだろうか…

それよりも、ここに集まってる仲間を救ってあげたい、という思いに次第に変わっていく。


そんな最中、

「願いを叶えた場合、ここで過ごした日々の記憶は一切消えて無くなる」

という新たな事実を知らされ、戸惑う。


残りの猶予はあとわずか、彼らは願いを叶えることができるのか。

それとも願いを叶えることなく、思い出と共にそれぞれ去っていくのか。


そんな緊迫した状況の中、彼らの中にひとりがお城のルールを破り、強制的にお城が閉じられようとする。


なぜ同じ悩みを抱えた7人がここに集められてきたのか。

その7人に共通するものとは。


ミステリー要素を散りばめながらも、少年少女のやるせなく、思い通りにならない現実とお城の中での非現実の日常が絡む合う。


話の構成やテンポが良く、終盤で全ての謎と辻褄が合う展開が大きな感動を生む。

読むものを飽きさせることなく、一気読み、保証します。


救いを求める側から、救う側へと移る、主人公の心の機微がお見事です。


これもきっと映像化になること間違いなしだな。

実写もいいけど、SF要素もあるんで、アニメーションの方が、伝わり方はさらにいいと思う。

「君の名は。」の新海監督、きっと大好物ですよ。

ぜひアニメ化を!

読んだら忘れないための備忘録

歳を重ねるにつて、読んだ端からすぐ忘れては、本屋でお気に入りの本を手に取り、帰ってみたら、自宅の本棚に全く同じものがある光景に辟易してしまう。 そんな負の連鎖を極力避けるべく、またせっかくの学びをより確かなものにするための備忘録です。

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