モンベル 7つの決断
辰野勇 著 /
私の趣味の登山用具は、そのほとんどがモンベルの商品である。
細やかに分類された衣類や道具の数々。
機能美に溢れたアイテム群。
価格も他社のものより据え置きで、使い勝手も良い。
年に二回送られてくるカタログや情報誌も楽しみの一つだ。
そんなモンベルの創業者、辰野氏が語る経営哲学。
辰野氏は若い頃、世界の山々を踏破する登山家であり、日本初のクライミングスクールを開設する。
その後、総合商社に勤めて、繊維部門を担当することとなる。
そこで、高機能で新しい繊維と出会うこととなる。
この繊維部門での経験が、モンベル設立への重要な足がかりとなる。
その後、商社を退職し、資本金ゼロで会社を設立する。
資本金ゼロということは「失うものがない」ということ。
「ゼロ以下」にならない努力を続けることで、「プラス」の要因しか残らない。
その先に健全な会社経営の軌道が続く。
その言葉通り、新たな素材の開発や商品の開発により、ヒット商品を次々に生み出し、多くのユーザーを獲得し、会社は右肩上げりに成長していく。
しかし、下請けの仕事をしている限り、何事においても自分たちに決定権がないジレンマに陥る。
目先の売り上げは作ることは出来るが、将来の保証などない。
今日の1000万円の売り上げよりも、明日に繋がる100万円の仕事をつくろう。
こうして、各都市に直営店を出店し、モンベルブランドを築き上げることとなる。
それは会社設立当初の理念である「少なくとも30年間は規模を拡大し続ける必要がある」という出発点でもあった。
現在、モンベルの直営店は、海外へも出店し、日本の地方自治体とも連携し、アウトドアライフの啓蒙活動にも積極的だ。
さらに阪神淡路大震災や東日本大震災時には、今こそアウトドア商品が役立つ時であると、「アウトドア義援隊」をすぐさま設立し、社員総出で救援活動を行った。
日本初となるアウトレットショップを出店し、経営難で廃刊へと追い込まれた、歴史ある山岳雑誌「岳人」の出版事業を継承し、その最新刊が本屋に並ぶ。
今年で創立43年目を迎えようとしている。
30年はあっという間に過ぎてしまった。
時にはあえて常識的な軌道を超えて、一歩踏み出す勇気が求められる。
それによって見えてくる新たな世界や可能性に向かって歩き出す。
それが私にとっての「決断」である。
「世界で一番幸せな会社にする」
それは、人と比べることではなく、自分が幸せだと思いさえすれば、そうあり続けることが出来る。
では、経営者にとっては幸せでも、社員にとっても幸せだと言い切れますか?
「経営者自身が幸せだと思いない会社で働く人が、幸せと思えるはずかない」
だから、モンベルの商品を使っている登山家は幸せなのだ。
★ハッとしてグッとポイント★
何事も自分たちの手で取り組む。
どんなプロも最初の1日目がある。そして今日がその一歩なのだ。
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