実行力
橋下徹 著 /
38歳で大阪府知事、42歳で大阪市長に就任。
48,000人の組織を動かしてきた男の君主論。
その男は徹底的に議論を求める。
組織が猛反対する案件については、その反対意見を徹底的に聞くが、最後は必ず出た決定には従ってもらう。
決定権と責任の所在を明確にし、その決定には必ず従う。
全会一致になるまでの猶予を待っていては、スピードが重視される現社会では、とてもやっていけないからだ。
そのためには「良い上司」である必要はない。
組織のリーダーに必要なものは、友人関係のような人間関係ではなく、「仕事をやり遂げた」ことへの信頼関係だから。
そして、現場が気付いてない大きな問題点を探り出し、それについて徹底的に話し合いながら、最後は決断・判断・決定を下していくことがリーダーの役目。
しかし時にはその決定が揺らぐ時がある。
どちらの言い分も分かる、絶対的に正しい答えなどない。
それでも決めなければない。
そんな時は自分の判断基準に照らし合わせる。
「フェア」(公平性)であるということ。
それを軸の柱として選択の指針とする。
例えば、補助金の使い方であれば、特定の人だけが利することは絶対に許さない。
天下りなど明らかにフェアな仕組みではなく、言語道断である。
そして、ビジョンがあっても「実行プラン」がなければ、何も動かない。
コンサルタントが、役所や企業に対して戦略を提言しても、ほとんど役に立たないのは、組織を動かすための実行プランや実行プロセスが考えられてないからだ。
「実行プラン」がソフトウエアならば、それを動かすハードウエアこそ「組織」である。
リーダーはこの「組織」を率いて物事を実行していく。
ビジョンと組織体制作りはワンセットなのだ。
IR(統合型リゾート)構想、大阪都構想。
大胆な改革には、必ず強烈な反対意見が上がるもの。
故に議論が紛糾するのは当然で、だからこそ決定権をしっかり定め、舵を切っていく実行力が必要なのだ。
強い決定権者が存在しないチームを作っても、物事は大胆には動かない。
提案や議論だけでは何の解決もならず、常に実行しなければならない。
組織を動かし、地域や世の中を実際に動かしていくには、知識だけでなく、莫大なエネルギーが必要であり、それは政治運動によって生まれてくる。
間違いなくその主なエンジンは、大阪都構想運動だった。
しかし大阪都構想は2015年の住民投票でいったん否決されてしまった。
だが、その余熱が今も継続してるからこそ、これまで対立していた府市が一体と成らざるを得なくなり、大阪が本来の力を発揮し始めたのだ。
2025年には、松井大阪府知事と吉村大阪市長らによって、府庁と市役所をひとつにまとめ上げ、大阪万博が開催される。
「独裁だ!」「強権だ!」「横暴だ!」と散々批判を受けてきた男のその「実行力」は脈々と確実に未来に繋がっているのである。
橋下徹、彼が歩んできた8年間の活動は、どの政治家よりも濃いものだった。
★ハッとしてグッとポイント★
自分から喧嘩を仕掛けたことは一度もありません。
ただし、仕掛けられたら、100倍返しします(笑)。
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