加害者家族
鈴木伸元 著 /
誰もが「自分は加害者にはならない」と思っているが、加害者にはならなくとも、身内が罪を犯し、「加害者家族」になりうる可能性はある。
表に出ることなく、光の当てられることのない加害者家族の実態。
それは鉄槌のごとく、突然振り落とされる。
何の前触れもなく、警察から連絡があり、家庭が、日常が崩壊する。
数多くのマスコミが自宅周辺に押し寄せ、職場にまで侵食する。
どこから番号を知り得たのか、毎日誹謗中傷や恐喝まがいの電話が鳴り止まない。
インターネットで、素性を暴かれ、写真や個人情報を丸裸にされ、失職や転居を余儀なくされる。
そんな悪夢のような過酷な現実を受け止められず、自殺する者までいる。
事件への自らの非力を嘆き、激しい後悔に暮れる加害者家族も多いが、そもそも身内の犯罪を未然に防ぐには限度がある。
自分たちが直接罪を犯した訳ではない。
しかし被害者家族や世間は、それを許しはしない。
罪を犯した当事者は、残された家族の過酷な状況を知る由もなく、独房の中で時を刻む。
全ての縁を断ち切り、地元を離れ、遠く、遠くへと重い足を運ぶが、いつ「それ」がバレるのか、怯え、苦悩しながら過ごす日々。
物心の付かない幼子には、なんと説明すればいいのか…
今現在も闘い続ける加害者家族、当事者の口から悶々と語られる。
罪人は、被害者や被害者家族、また加害者家族、全てを飲み込み破壊するのだ。
★ハッとしてグッとポイント★
加害者家族を描いた、東野圭吾著「手紙」という不朽の名作がある。
心が搔きむしられます。
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