流

東山彰良 著 / 

祖父は何故殺されたのか。

中国での過酷な内戦をくぐり抜け、台湾に渡ってきた不死身の祖父が殺された、無残な姿でー

何故、誰によって…

祖父の死の第一発見者となった孫の秋生(チョウシェン)は、祖父の死の真相に迫るべく、奔走するが、当時中学生だった自分にはなす術もなく、警察の調査もうやむやに処理されてしまう。

そんな中、秋生の波乱に満ちた青春時代が、時にコミカルにドラマチックに展開する。

台湾ヤクザとのトラブル、切ない初恋、陸軍軍官学校での奮闘、それは1970年から80年にかけてのカオスとエネルギーに満ちた台湾の姿と重なり、色どり豊かに描かれる。

そして、成人した秋生が祖父にまつわるある写真を手にした時、運命は大きく動き出す。

祖父のルーツと言うべき、中国大陸へと渡っていく。

そこで見た祖父の真の姿とは…

台湾から日本、そして全ての答えが待つ中国大陸へ。

激動の歴史に刻まれた家族の流浪の旅が始まる。

目まぐるしく展開するストーリー。

当時の台湾の様子やそこでたくましく生き抜いていく人々の姿。

読み手を混乱の渦の中に巻き込むパワーがある。