SHOE DOG

フィル・ナイト 著 / 


はじめから高く、飛べたわけじゃない。


アメリカを代表するスポーツメーカー ナイキを創った男、フィル・ナイトの創設から現在までの物語り。


始まりはほんの思いつきだった。

陸上のランナーとして学生時代を過ごし、馬鹿げたアイデアと共に日本へ旅立つ。


ここでまず注目すべき点は、実はナイキと日本には大きな繋がりがあるということ。

はっきり言って、そんな認識は今までなかった。


というのも、当時日本には、オニツカタイガー(後のアシックス)があり、そのシューズに惚れ込んだナイト氏は、単身で乗り込み、アメリカでの独占委託販売の商談に乗り出すのだ。


そして、ブルーリボンという会社を立ち上げ、アメリカでオニツカのシューズを売り出す。

ナイキの始まりが、日本のシューズだったとは。


アメリカでの販売は好調で、販売数は年々増すのだが、会社の資本金は年中枯渇気味で、会社の成長のスピードにキャッシュフローが追いつかない!

様々な金融機関を当たるが、得体の知れない弱小シューズメーカーに潤沢な資本金を提供しようとする銀行はなく、ナイト氏は日々苦悶する。


その状態から救い出してくれたのも、これまた日本の企業。

総合商社の日商岩井である。

ナイト氏の熱意とその未来に共感し、融資を行い、様々なピンチを助けてくれたのである。


そして様々な困難を乗り越え(オニツカに裏切られたり、シューズ業界から訴えられたり、仲間がアディダスへと移ったり)、ナイキと社名を変更し、自社のシューズを販売していく。


その後、エアージョーダンやエアマックスなど数々の人気商品を生み出し、多くの人気アスリートと契約し、総合スポーツメーカーとして、またスポーツカルチャーの先駆者として、今や世界NO.1のメーカーに君臨する。


ところで、くだんのフィル・ナイト氏。

本書を読む限り、起業家としてのカリスマ性なるものはないように思える。

ゲイツやザッカーバーグ、孫正義などに語られる武勇伝もなければ、革新的なひらめきのようなものもない。


しかし彼には、一緒に困難を戦ってくれた仲間と、協力してくれる企業に恵まれた。

それに何より常に走り続けた。


同じ場所のい続けたければ、全力で走らなければならない。

もし別の場所に行きたいなら、少なくともその2倍は速く走らなければならない。


そう彼は生粋のランナーだから。


★ハッとしてグッとポイント★.

世界進出に失敗したアシックスと世界制覇したナイキ。

その明暗がここにある。

読んだら忘れないための備忘録

歳を重ねるにつて、読んだ端からすぐ忘れては、本屋でお気に入りの本を手に取り、帰ってみたら、自宅の本棚に全く同じものがある光景に辟易してしまう。 そんな負の連鎖を極力避けるべく、またせっかくの学びをより確かなものにするための備忘録です。

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