ジェノサイド
高野和明 著 /
人類を凌ぐ知性が、この地球上に現れたとしたら、我々はどう対処するのだろうか。
それは、南アフリカのコンゴでひっそりと生まれ育っていた。
僅か3歳という年齢にも関わらず、人工衛星を自在に操り、解読不可能な暗号で通信し、あらゆる特殊機関の情報を傍受する。
現生人類の限界を超えて、世界を認知する存在。
超大国アメリカは、その存在を抹殺しようとする。
自分たちの利益になるべく、超人的な理性を利用しようとも、知性に劣った人間には無理だ。
いや、支配される危険性が付きまとう。
大統領厳命下の元、特殊部隊を送り込み、何度も抹殺を試みるが、巧みに回避される。
その新人類の周りには、保護しようとする科学者たちがいた。
圧倒的なスケールとスピーディーな展開で、人類と新人類との目まぐるしい攻防が展開する。
多少の犠牲は問わない、容赦のない徹底した追跡が始まる。
過去、多くの血を流し、殺し合いを繰り返してきた人類が、その本性をむき出しにする時、死をもたらす暴力の行使には、国家や宗教という後ろ盾が免罪符となる。
その枠外にいるのは異人(エイリアン)、敵なのだ。
全ての生物種の中で、人間だけが同種間のジェノサイド(大量殺戮)を行う唯一の動物。
人間性とは、残虐性なのだ。
「私たちは滅びていく生き物かも知れない…」
果たしてヌース(ギリシャ語で知性という意味)と呼ばれる新人類は、我々の敵なのか、それとも味方なのか。
「彼らが平和を愛する種族である事を祈るよ」
人類の存亡と未来をかけた壮大な物語り。
一気読み必至の面白さです。
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