藝人春秋

水道橋博士 著 / 


まず水道橋博士のその卓越した文章力に衝撃を受けた。

語彙力やワードセンス、構成力、読み物としての完成度は非常に高く、飽きることなく楽しめる。


もちろん芸人さんである博士、数々の小ボケをかましつつ、ラストの大オチに持っていく展開はさすが。

いち芸人とと思うなかれ、作家さんと引けを取らない、いや、それ以上かもしれない。


さて、本の内容と言えば、博士が愛して止まない、偉人、奇人?芸人たちの生き様を時に鋭く、時に情け深く、愛情に満ちた目で描いたルポエッセイ。


師匠であるビートたけしはじめ、現お笑い界の巨人、松本人志、はたまたクズの中のクズと称される、三又又三、県知事まで登り詰めたそのまんま東と、それはそれは個性豊かな面子が揃う。


それぞれのエピソードが実に興味深く、破天荒な行動や、お笑い哲学、酒の席でのお涙話まで、より濃い背景が分かり、その人物像が立体的に浮かび上がる。


そして何よりも、どの芸人さんたちもどこか哀愁が漂うというか、大笑いした後になぜがじんと胸に込み上げてくるものがある。


博士の異常な愛情が溢れ出す、芸人に対する洞察力とその筆力は一読の価値ありです。


★ハッとしてグッとポイント★

エネルギー過剰により、世の中の規範からはみ出していく「藝人春秋」に出てくるモンスター達の物語。

読んだら忘れないための備忘録

歳を重ねるにつて、読んだ端からすぐ忘れては、本屋でお気に入りの本を手に取り、帰ってみたら、自宅の本棚に全く同じものがある光景に辟易してしまう。 そんな負の連鎖を極力避けるべく、またせっかくの学びをより確かなものにするための備忘録です。

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