サカナとヤクザ
鈴木智彦 著 /
アワビ、ウナギ、ウニ、カニ、サケ、ナマコ…
私たちは知らないうちに密漁品を食べ、反社会勢力に協力している。
日本の漁業は、余りにも地雷が多過ぎる。
密漁や産地偽装などの諸問題が、ゴロゴロ出てくるからだ。
叩けば埃どころではない、こびりついた垢に近い。
日本人の好物、アワビ。
市場の流通する半分が密漁アワビだ。
言い換えれば盗品、もはや異常事態とも言える。
農業の様に育てることをせず、資本を使わず、自然界が生産した漁獲物を収奪するのだから、美味しい話だ。
その密漁の大元締めのほとんどが暴力団である。
しかし、暴力団だけが、悪人ということではない。
その手先となる漁師、欲に目がくらんだ漁業協同組合、密漁と知りながら仕入れる水産業者と共生関係が構築されている。
世界中からの観光客で賑わう、日本最大の水産物市場築地、海産物の宝庫北海道、
漁業の町、銚子ー
今も昔も、密漁はヤクザのシノギ。
東日本大震災により大被害を受けた港では、好き放題にアワビが密漁された。
黒いダイヤモンドと呼ばれるナマコは、中国においては高級食材。
中国人バイヤーが大挙し、北海道を訪れ、一気にナマコを買い占める。
一方、密漁を取り締まる海上保安庁は、苦戦を強いられる。
密漁団は、ヤクザも漁師も地元の人間で構成されている。
密漁で潤っている街に協力する人間などいないからだ。
水産物を金としか思っておらず、資源保護などと言い出せば、融通の利かぬ異分子と弾弓される。
もし密漁がなくなれば、カニやウナギ、アワビなどの価格が飛び上がり、品物が集まらず、手軽に消費者が口にすることは出来なくなるだろう。
そもそも日本の漁業は、昔から不正の上に成り立っていた。
堂々と表ルートで売られている密漁品。
知らず知らずとは言え、それを食する我々は共犯者なのだろうか。
★ハッとしてグッとポイント★
北海道には青い珊瑚礁はないし、熱帯魚が泳ぐダイビングスポットもない。
しかし、この北の大地にもダイビングショップはある。
密漁者の酸素ボンベを充填するために。
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