借金取りの王子
垣根涼介 著 /
リストラ請負会社で働く主人公、真介を中心に描く「君たちに明日はない」の続編。
今回もまた、一癖も二癖もある面接相手が、真介の前に現れる。
事前に資料を読み、もめそうな相手には、熱いコーヒーは出さない。
コーヒーをかけられた着替え用のワイシャツは、いつも数枚持参する。
「誰かが辞めなければならないなら、私、辞めます」
真面目で仕事も出来るのになぜか辞めたがるデパガ。
女性恐怖症の生保社員。
秘められた純愛に生きる、サラ金勤めのイケメン。
それぞれにそれぞれの働く理由がある。
本当にこの仕事でいいのだろうか。
いつまでこれが続くのだろうか。
いや、もっと出来る、ここで生き抜いてみせる。
早期退職者をほのめかす、面接のやりとりで、浮き彫りになっていく、それぞれの本当の姿。
その本心に触れた時、それぞれがそれぞれの道を模索する。
モノが溢れ、消費される社会。
そして、それにまつわる仕事、会社。
そこで働くのが本当の幸せなのか。
仕事ってなんだ、生きがいってなんだ、いい車に乗って、でっかい家に住んで、最先端の電化製品に高級家具があれば、それで幸せなのかー
現代社会で、あぶれもんのレッテルを貼られた「リストラされた人」への愛情と応援がこもったメッセージ。
連作短編という形で各エピソードごとに、魅力的なキャラクターが続々と登場する。
また8歳年上で、過去に真介の面接を受けた陽子との波瀾の恋の行方も気になる。
勤労者にパワーをくれる、笑って泣ける人気シリーズ。
未読の方は是非。
★ハッとしてグッとポイント★
仕事ができない者ほど、しがみ付き、仕事が出来る者ほど、あっさり辞めたがる。
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