王とサーカス
米澤穂信 著 /
荒涼とした大地、水不足に悩む異国の地、ネパールの都市カトマンズ。
そこにはトーキョーロッジというホテルがあり、一人の日本人女性記者が宿泊するところから物語は始まる。
彼女が宿泊して間もなく、国内を震撼させる歴史的事件が発生する。
国王が王宮で射殺されるという惨劇。
彼女は現地に滞在している利を生かし、国王射殺の真相を追って、取材を敢行するが、混乱した情勢では、なかなか思いように進まない。
そんな中、当時王宮を警備していたというひとりの軍人が取材に応じるという。
しかし、取材後、その軍人の死体が街中で、あるメッセージとともに発見される。
国王の死と軍人の死には何らかの関係があるのか?
物語はその真相を巡って坦々と進んでいくが、国内の厳戒態勢の中、取材を敢行する緊張感やホテルに滞在している他のお客との人間模様が見もの。
さらに記者としての取材のあり方や、何のために記事を書くのか、というジャーナリズム精神にまで言及する。
複雑に絡み合った事件の糸が次第にほつれていき、その事件の真相の先にある深い闇に圧倒される!
「王とサーカス」というタイトル、なんだかおとぎ話のひとつでもありそうなものですが、読後、そのタイトルの絶妙さに納得。
この作品、昨年のミステリー賞を総なめにした作品で、今最も乗りに乗ってる作家さんのひとりだと思います。
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